Posted by : Kyoko Mstra 2014年12月23日火曜日


「治験翻訳セミナー」

「治験翻訳」と銘打たれたセミナーでしたが、実際はもっと広い範囲を対象とする内容でした。
講師先生は海外の大学で言語学を修められた方で、ご自身の経験に裏打ちされた言語学的な視点からのお話はどれも新鮮で、4時間という長丁場でしたが、集中力を(あまり)切らさず、最後まで拝聴することができました。

「第二言語の能力は、決して第一言語の能力を超えることができない」というSecond Language Deficit理論も印象的でしたが、セミナーを通じて一番強く感じたことは、和訳でも英訳でも文の構造理解が重要だということです。

英訳については、

1. 主語と述語をまず決める
2. 述語動詞の属性(Tense、Aspect、Modality)を決める
3. 名詞の属性(単数/複数、定冠詞、不定冠詞、無冠詞)を決める
4. その他の部分を訳す

という4ステップを、また和訳については、

1. (英語のまま)文の必須要素のみで構成される文に単純化する
2. 単純化した文を日本語の構文に従って和訳する(命題文)
3. 命題文を基幹として自然な訳文を作る
4. 論理展開に従って段落構造に整える

という4ステップを教えて頂きました。
まずは土台(幹)を作り枝葉を付けるというやり方ですね。

思い返してみれば、自分も、普段の翻訳作業は同じように進めているのですが、ステップとして明確化したことはありませんでした。こうして明確化してみると、自分はどこが弱いのか、解釈を間違った場合はどこで間違ったのかといった確認が以前より容易になりました。基本的なことですが、「(文の)構造を意識する」ということの重要性を再確認した思いです。

他にも意味の似た動詞のグループ化、手本とすべき文章は何か、英語力/日本語力の強化法、冠詞のトレーニング等、実際的な情報もたくさん教えて頂きましたが、ここにはとても書ききれません。それほどに濃い内容の4時間でいた。

頂いた資料の中に、先生の解釈される「翻訳とは」が記されています。
(当日頂いた情報はすべて使用可とのことでしたので以下に転記します)

定義
翻訳とは単語レベルでの単純な置き換え作業ではない。
翻訳とはある言語で書かれた情報を正しく解釈し、
別の言語を用いてその情報を再生する行為である。
翻訳の理想形
STAGE1 移行された情報が等価であること
STAGE2 表現された意味が明快であること
STAGE3 意図された機能が発揮されること
STAGE4 再生された表現が自然であること

昨年いくつかの著名な先生のセミナーに出席する機会がありました。突き詰めてみれば、どの講師先生も表現の仕方こそ異なりますが、同様のことを仰っていたような気がします。
1年の最後に「翻訳とは」を自分の中で再確認することができ、よい締め括りとなりました。

HM様


スクールアルパ・リエゾンの有馬先生を講師に招いて行われた「治験翻訳セミナー」に出席してきました。有馬先生のお話は大変興味深く(そもそも先生ご自身の経歴が興味深い!)4時間の長丁場を感じさせないとてもインセンティブなセミナーでした。

最も印象に残ったのは、「翻訳とはインプット(原文理解)が9割、アウトプットが1割。そして原文に書かれている情報を理解するために必要な知識は2年あれば習得できる」というお話でした。先生は、理系・文系というバックグラウンドの違いは医薬翻訳者にとってなんら関係ない、という考え方ですので、この2年という期間はもちろん文系出身者にも当てはまるということです。医薬どころか理科のレベルでつまずいている私にはにわかに信じがたい話でしたが、参考にするべき文書、HPなどを紹介しつつ説明してくださいました。「単なる知識ですから覚えればいいんです。」先生のことばで、文系出身ということを言い訳に怠けていたのを言い当てられた気がした反面、覚えればいいだけならなんとかなる、と自信を持つことができました。2年間継続して地道に勉強するのはなかなか難しいことですが、ゴールの見込みもなくやみくもに勉強するのと、正しいとわかった道を行くのとではモチベーションが全く違ってきます。先生のポジティブで明快な説明は励みになるものでした。

「アウトプット1割」の部分についても、(英訳においては)動詞の座標軸を持つこと、冠詞を決める際自分の基準を持つこと、論理展開を考えて接続詞を入れることなど、実践的な翻訳向上のための方法を教示してくださいました。理解した原文の情報をできる限り過不足なく自然な目標言語に「再生する」ことが翻訳の要であるということは誰もが理解できるところですが、そのためにどうすればいいのか。一つ大切なのは自分なりのブレない基準を持つこと、とおっしゃられていました。ブレない翻訳のためにはどの訳語を充てるにも自分なりのルールに則って行うこと。そしてそのルールは自分が納得のいくものでなければならないということ。翻って自分の場合を考えると、ともすれば「雰囲気で」または「流れで」訳語や冠詞を選択することもあり、なぜその訳語を選んだのか一貫して筋の通った説明をすることができないのが現状です。確固たる自分なりの基準を持って初めてアウトプット1割と言えるのであり、そのためには、突き詰めて文法を勉強することが必要だと思いました。

目の前の仕事をとりあえずなんとかこなす日々ですが、今回セミナーに参加して、「医薬翻訳者に必要な力とは何か」を考える良い機会になりました。そして自分になにが足りないか、これからなにを勉強していかなければならないか、再確認ができたように思います。

YT様


治験翻訳は全く未経験の分野なので、セミナー前にはずいぶん腰が引けていたのですが、参加してみたら、「楽しかった!」の一語につきました。

当日にいただいたセミナー資料をめくって思い返してみると、「そもそも翻訳とは?」「先ずはモノリンガルトレーニング」といった、どの分野にも共通する項目から、「医学英語のスタイル」といった項目まで、幅広く網羅されていました。カラー印刷された「冠詞のトレーニング」との項目では、日本語を見て冠詞を決めてみる(名詞に色をつけてみる)など、斬新なトレーニングもありました。

セミナーでは、他では聞かないようなわかりやすい例えが満載で、翻訳者としては異色(?)の経歴をお持ちの有馬先生の知識の豊富さを垣間見た思いです。例えば、コンマやコロンなどのパンクチュエーションを音符に例えたり、和訳文を松の幹とその枝葉に例えたりで、ストンと自分の頭にはまった感じがします。また、「接続詞とは世を忍ぶ仮の姿で、その実体は・・・」との言い回しで心を鷲掴みにされ、「パラグラフは、(文と文との)チームプレー」との説明で目がハートになり、一日ですっかり有馬先生のファンになりました。

英語、日本語のブラッシュアップと共に、治験翻訳の勉強にも挑戦したくなる、盛りだくさんの4時間でした!

MM様



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